悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
その騎士の中には、恐らく、ストーキングスポットで彼が立っているのを、見て知っていた人達も含まれている気がする。

本人と接触していて、それでいて挙動不審。それを目撃し、何かあっては大変だと推測して連れ出した、という流れがアメリアは想像された。

彼、ずっとあなたのストーカーをしている騎士様ですからね……。

「まぁ、クラーク様も、近衛騎士隊長様としてお忙しい方ですし」

「そうだね、私もあの後に帰ったんだ」

そんなミッシェの話を聞きながら、アメリアはそわそわした。

先程から、タイミングがなかなか掴めない。彼女の気持ちを聞きにきたのだけれど、どうやって切り出そう?

「せっかくのアメリアからの美味しい菓子だ。クラークも、いればよかったのだけれど」

ミッシェルが口にして、菓子を一つ手に取った時――。

「ぜひ、頂きます」

近衛騎士隊長クラークが、しれっと窓から現れた。

ここは、宰相室の近くにある王宮の二階である。窓枠に手と足をかけた状態の彼を見て、アメリアは理解するための時間を要した。

「…………あの、どうしてここに?」

「私の名前を呼ぶのが聞こえたもので」

当然のような顔で答え、クラークが室内へ足を踏み入れる。

ミッシェルが、窓を見て、ここが二階があるのを改めて考えさせられたように「はぁ」と感心の声をもらした。

「軍人というのは、すごいんだなぁ」

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