悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
違うんですよミッシェル様、彼はただのストーカー野郎なんです。

アメリアがそう思っている間にも、クラークがその隣に座る。推しの顔と姿がバッチリ見られる場所である。

ちらりと目を向ければ、眼鏡越しに生真面目な凛々しい目と合った。

「これから訊くつもりなのでしょう。その大事な場面に、お前だけというのも羨ましすぎます」

「あ。それを見越して、外でずっと張ってましたね?」

察してアメリアが言うと、彼は「当然です」と真面目に答えてきた。そうやって仕事の技術をストーカーに悪用するの、どうかと思う。

そのそばでミッシェルが、ベルを鳴らして別室に控えしている侍女を呼び、彼の分の紅茶を淹れさせていた。

しばらく、お菓子の感想などを話した。せっかくクラークが加わったというのに、アメリアは引き続きなかなか本題を切り出せない。

(クラーク様、ミッシェル様に切り出してみてください)

(無理です。ですからお前を頼りにしています)

(こういう時だけ私を頼ってどうするんですかっ)

こそっと彼と話したアメリアは、そういえば友達計画も、自分が動いてのことだったと思い出した。よくよく見てみれば、クラークは普段より二割増しでキリリとして見える。

……つまり尊いお方に訊き出すことを考えて、緊張がマックスになっている、と。

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