悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
難攻不落の攻略キャラも、絶大な推しの前では冷静でいられないらしい。見た目も能力も完璧なのになぁと、アメリアは彼により親近感を覚えた。

「ミッシェル様、実はお話があるのです」

一つ咳払いをして、姿勢をきちんとしてアメリアは切り出した。

クラークが、いよいよ背筋を伸ばしてキリッとした感じになる中、ミッシェルが不思議そうにアメリアを見つめ返す。

「話?」

「はい。申し訳ございません、私、先日の舞踏会で、遠目からミッシェル様をお見かけしていたのです。でも、あの……お声をかけられなくて」

これから話すぞと考えたら緊張してきた。するとクラークが、スカートの上で握られたアメリアの手を、テーブル下で励ますようにポンポンと叩いた。

そうだ、私は一人じゃない。心強い味方だっている。

アメリアは、喉の強張りが少し解けるのを感じて、ミッシェルに続けた。

「実は、離れていく第一王子殿下を見送るミッシェル様を拝見しました。どんなやりとりがあったのかは存じませんが、その眼差しが、とても切なげに見えてお声をかけられなかったのです」

「……もしかして、舞踏会に参加していると聞いて、私を探してくれたのかい?」

ふっと柔らかく微笑んだミッシェルは、どこか察しているような、それでもアメリアを気遣う表情でもあった。

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