悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
でも気づかれていないだけで、本来は堂々とした気質ではない。前世の記憶が戻ったせいか、アメリアは初めて会う人間だとより緊張した。

「相手は貴族、へたな対応はできないわ」

待ち合わせていたサロンの前で、足を止めてゴクリと唾を飲む。

家の看板をしょって歩いているようなものだ。両親や兄に迷惑はかけられない。それを前世での営業経験で、どうにか抑えてサロンへ足を踏み入れた。

サロン内を少し捜すと、令嬢達から聞いていた特徴のある少年を見つけた。

「あなたが『読書会』のリーダー、子爵家のアーロ・ヴィレッド様……?」

すると癖っ気の明るい髪色をした少年が、パッと緊張気味に見つめ返してきて、途端に休んでいた椅子から勢いよく直立した。

「あっ、はい! は、初めましてアメリア様。従姉妹のメルビーから話はかねがね聞いておりますっ。お、俺はヴィレッド子爵家の三男、アーロです!」

「このたびは、ご協力をありがとうございます」

アメリアは営業スマイルで、令嬢らしい気品を意識してにこっと微笑む。アーロの頬が、ほんのり紅潮した。

「いえ、あの、『読書会』といっても、俺らは本好き同士で集まってお喋りを楽しんでいるだけですから。少なからずではありますが、ミッシェル様のことを知って頂けるように、俺らが足を運ぶ場所でも話題に出していく考えです」

あせあせとアーロは言葉を続ける。

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