悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
さりげなく肩を抱かれて彼から遠ざけられていたアメリアは、一瞬、エリオットがとてもかっこよく見えてしまった。

――とはいえ、まぁ、一瞬なんですけどね。

途端にアメリアは、ふっと真顔に戻ってそう思った。彼のイケメン具合なんて〝高貴なる令嬢〟の足元にも及ばないんですけどね。

どうせヒロインと恋に落ちる男である。アメリアは自分にそう言い聞かせると、高鳴りかけた胸を抑え込んでエリオットの腕から抜け出した。

「ありがとうございました。正直言うと、助かりました」

「何、お前に用があったのは本当だからな」

「私に?」

きょとんとしたら、エリオットが形のいい唇を少し引き上げてくる。アメリアが少し不思議に思っていると、彼が先に言葉をかけてきた。

「頑張っているみたいだな。たびたび話も流れてくる」

「ミッシェル様をお助けして、サポートしようと決めましたから」

そう口にしたところで、アメリアは思い出した。

「第一王子殿下の件、ありがとうございました」

深々と頭を下げ、改めて礼を口にした。するとエリオットが、ちょっと肩を竦めて見せる。

「俺は気持ちを聞いただけだ。あとは、当人らの頑張りだ」

今回、あえて互いが想い合っていることは教えていなかった。そのおかげで、結果的に良くなっているのをアメリアも感じている。

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