悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
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その数日後、陛下達の結婚記念日のパーティーが開催された。王都の町ではお祭りが開催され、王宮へ次々に向かう馬車も盛大に見送られた。
「ふぁーっ、緊張する!!」
アメリアが両親と離れて叫ぶや否や、隣にいた兄のロバートが不思議そうに彼女を見下ろした。
「新作のドレス、似合ってるぞ?」
「そっちじゃないですわ、お兄様」
途端にアメリアは、すんっとなって冷静な表情を浮かべる。本日、いよいよミッシェルが告白するからである。
そもそも別にドレスくらいで緊張しない。公爵令嬢ヴァレンティーナの件でひらひらの男装をし、ミッシェルの件で積極的に社交を始めてから、慣れた。
それにどんな衣装を着ようと、所詮自分なんてレベルが知れている。
最近、着飾るようになって鏡で自分を確認して気づいた。おかしなことに、ゲームであったような〝悪役令嬢アメリア〟の高貴さを感じない。
「つまり私、身の内側から出る品がないと気づいたの」
やっぱり前世で〝高貴なる令嬢〟を追いかけ続けたオタク会社員であったのを、思い出したせいだろう。ドレスに着られている感がする。
アメリアが、つい真面目な顔で考察をもらせば、ロバートが深く考えないまま「ははっ」と笑った。
「兄ちゃん、お前が何言ってるのか分かんないなぁ。僕の妹は、どんなドレスも素敵に着こなせてしまうくらい世界で一番可愛いぞ!」