悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
ぎゅっと抱きしめられた。大袈裟な感想だなぁと思ったものの、アメリアはどうしてか、とても懐かしい感じがして言い返せなかった。

ロバートは、アメリアを離すとニカッと笑って言った。

「んじゃ、僕は父上達のサポートに回るから、アメリアは殿下と仲良くな」

なぜか、全面協力的なウィンクまでされてしまった。これで殿下(エリオット)が婚約破棄をしたらどうなるんだろう……とアメリアはちょっと心配になった。

日中開催となったパーティーは、先日の舞踏会と違った明るい華やかさに満ちていた。扉や窓は、全て開けられて風の出入りもある。

会場内を進んでしばらくもしないうちに、アメリアは、ばったりエリオットと合流した。

「あら、殿下」

目を丸くしていたら、ついといった様子で立ち止まっていた彼が、やや遅れてアメリアへと歩み寄った。

「今日も、一段と綺麗だ」

「え? ああ、ありがとうございます」

きっと社交辞令だろうと思って、アメリアはさらっと答えた。

チェリーピンクの美しい髪が似合う上品な、薔薇の花弁をモチーフにした凝ったスカート。少しセクシーにも見える背から細い腰元のラインもあって、実のところ下車してからずっと人々の目を集めていた。

ここ数日顔を見ていなかったエリオットが、目の奥にほんのり熱を宿して、アメリアの手を包み込んだ。

「本当だ、アメリア。この会場の中で、君は誰よりも美しい」

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