悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
それは美麗で、絵になる、とても品溢れる二人のダンスだった。

見ている誰もが二人に夢中になっていて、もはやダンスフロアは、二人だけの世界になってしまっていた。

ぷるぷると震えたアメリアは、大きな赤薔薇色の瞳に涙を浮かべている。続いて「はぁ」と震える吐息を細く吐くと、口元を両手で押さえた。

ずっと彼女しか見ていなかったエリオットが、その愛らしい姿に胸を打たれて、眼差しの熱を強めた。

「ああ、アメリア」

彼はぐっときた様子で、肩を抱いている彼女を、より自分の方へと引き寄せて言う。

「俺は……その、実は、お前のそういうところも、好――」

と、その時、周りから上がった「きゃ――っ」という歓声と、アメリアの「ゴファッ」という噴き出しが重なった。

「んっはああああああああ! 今のターンの見つめ合い最高! ミッシェル様素敵! 推しが尊いよおおおおお――ぐぇっ」

直後、アメリアはむんずと頭を鷲掴みにされた。

以前にもされたことが脳裏をよぎった。恐る恐る目を向けてみれば、静かにブチ切れているエリオットがいた。

「お前、聞いてるか? せっかく勇気を振り絞れたというのに、その雰囲気を根本から壊しやがって」

「え、あの、すみません……? えぇと聞いてませんでした」

……なんで、めちゃくちゃ怒ってるんだろう?

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