悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
「はぁ。それでは、殿下のスケジュールの調整はいかがなさいましょうか? 茶会などのセッティングにつきましては担当者に伝えておきま――」

「それも不要だ」

一瞬、辺りの間で会話が途切れた。

廊下を通り過ぎて行く者達が、チラチラと見ていく。自分の聞き間違いかな、という表情で部下が「は?」と遅れて声を上げた。

「婚約者の初の来訪なんですよ?」

そういえば、期限付きの婚約であることは誰も知らない。仕事を優先的に考えていたエリオットは、涼し気な表情で言い訳を考えた。

「ああ、そういえば言っていなかったな。彼女は、随分物分かりのいい令嬢でね。しばらくは仕事で忙しい、とは伝えてある」

「はぁ。左様でございますか……」

「城を見て勉強もしたいんだろう。自由に出入りさせてやれ」

エリオットは深く考えず、そう答えて自分の権限で許可を与えた。



◆§◆§◆



翌日、アメリアは、早速期待を込めて登城していた。

目的は〝高貴なる令嬢〟の姿を、再びこの目にするためである。

兄に頼んだおかげか、昨日中で城を出入りする許可が下りた。しかも第二王子の婚約者の特権なのか、今後も顔パスで出入りしていいというのである!

「これは、生で何度も推しを見られるチャンス……っ」

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