悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
むふふっ、とアメリアは忍び笑いした。他の十六歳前の令嬢より華奢で、長いチェリーピンクの髪がより目立って、城の者達が目を向けていく。

一人では初めての登城であるが、彼女は不安もなかった。

ゲームに出ていた部分なら、地理関係は分かっていた。しかも用があるのは、ミッシェルがよくゲームに登場していたあたりだけである。

「まだ〝ヒーロー〟は〝ヒロイン〟と会ってないし、人気のない離れたサロンの奥側。ばったり他の攻略キャラに会う心配もなし!」

完璧だわ、とアメリアはキラキラとした目で口にする。興奮していて、疑問たっぷりの目で見られているとも気づかないでいた。

迷うことなく進んでいくと、サロンのある場所に差し掛かった。

「ゲームで見たまんま、落ち着いていて静かなのね……」

きょろきょろしながら、人の通りも少なくなっただだっ広い廊下を歩いた。ずっと行くと、寂しげにも思える古い休憩用の小さな庭が一つあった。

そこが、ミッシェルがゲーム中によくいる場所だった。

アメリアは、どきんっと大きく高鳴った胸を押さえた。はやる気持ちで駆け寄ると、廊下の柱の影からそちらを覗き込んだ。

「あっ……」

ゲーム画面で見ていたより美しい。王宮内の一つとは思えないプライベートガーデンのような、心地いい庭が広がっていて思わず見惚れた。

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