悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
人目から隠すように、周りに生い茂った緑。その中にはテーブル席が一つ設けられていて、夏に涼む用にと上には日差しを遮る木の葉がある。

そして、そこには休憩中の〝高貴なる令嬢〟の姿があった!

「はあっ、美しい……!!」

感激したアメリアは、咄嗟に己の口を押えた。今日すぐに見られるとか最高すぎる。やはり彼女こそ、私がこの世界に生まれた〝運命〟であるのかもしれない。

侯爵令嬢、ミッシェル・イリスバーグ。ようやく再び目にすることが叶ったその人は、一人、膝の上に本を広げて座っていた。

絵画のごとく美しい横顔。ほっそりとした肩にかかっている銀髪。ページを物静かに見つめる横顔は、どこか物憂げな印象もあって神秘さが漂う。

アメリアは、その姿を熱く見つめてうっとりとした。感極まって若干鼻息も荒くなり、最高潮にドキドキしている胸を押さえる。

「ここに通って、毎日でも見ていたい。ああっ、イイ匂いがここまで漂ってくる気がする……! どうにかお近づきになれる方法はないかしら?」

ぴったり柱のへばりつき、少しでもこの距離感を縮められないかしら、と向こうを覗き込む。

その時、不意に、ピタリと剣が首の横にあてられた。

「そこのストーカー、おやめなさい」

警告するその美しい声を聞いて、アメリアはゾッとした。

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