悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
あ、珍しい。難攻不落の攻略キャラの彼も、こんな表情をするんだ……ゲーム画面では見たことがなかったけれど、現実では少し違うのかもしれない

「そういう女性は嫌いではないですよ。あなたが殿下の妃となった暁には、正式に護衛してさしあげましょう」

「え……。あの、お気持ちだけでいいです」

結婚どころか、途中で婚約破棄される身である。嘘がつけないアメリアは、途端にしどろもどろになって狼狽えてしまう。

「そう謙虚にされなくともよろしいのですよ」

「いえ、別に謙虚でも謙遜でもないのですが、えぇと――」

「さて、いつでも彼女を見守れて、必要あらばお助けできる立場となると。殿下の婚約者で女性であることを踏まえると、ここは〝お友達大作戦〟ですね」

「お、お友達……っ」

提案された直後、アメリアは真顔でよろけた。個人的な事情も一瞬で頭の中から飛んで、一心にクラークを真っすぐ見つめ返す。

「素晴らしいですわ、近衛騎士隊長様」

「その反応を見て安心しました。名前呼びで構いませんよ、同志。共にあの方の幸せと平穏な時間を守りましょう」

「はいっ、クラーク様!」

アメリアは、差し出された手を躊躇なく握り返した。

――ここに、ファンクラブならぬ、たった二人の同盟ができた。



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