悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
クラークと知り合った翌日から、〝高貴なる令嬢〟とお近づきになるための頑張りが始まった。けれど、一日、二日、と日々だけが過ぎていく。

そうして、とうとう四日目なった。

「ここ数日、ずっと眺めているだけで終わってしまっているわ……」

この日も、アメリアは登城していた。小さな庭が眺められる柱の影に隠れて、休憩しているミッシェルを見守っているところだ。

まずは声をかけてみようと考えているのだが、なかなかきっかけやらタイミングやらが掴めないでいる。

本日もミッシェルは、一枚の絵になる眩い美しさでそこにいた。手元で本を広げており、どこか憂いのある雰囲気は神秘的なオーラが漂う。読書中、はらりと落ちてきた銀髪を耳にかける仕草だけで神々しさが増した。

「あああああどうしようっ、目の前で動いていらっしゃる……! 心臓バクバクで声なんてかけられない。リアルを前にすると興奮のあまり鼻血まで出そう!」

昨日も、仕事の合間をぬって来ていたクラークは「殿下の婚約者、そして伯爵令嬢としていけます」とアドバイスを繰り返していた。

けど、やっぱりこんな自分が話しかけるとかおこがましいっ、無理無理!

動いている推しを目の前に、想像するだけでアメリアの心臓は大きく高鳴った。まるで恋する乙女のように「きゃーっ」と頬を手で押さえてしまう。

それを、サロン近辺を警備中の男達が遠目に見ていた。

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