悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
「あの令嬢、また来てるぞ……」

「確か、エリオット第二王子殿下の婚約者様、だよな?」

「殿下と会っている感じは全くないのに、それでいて女性嫌いの近衛騎士隊長とよく一緒にいるんだよなぁ」

実に不思議だ、と彼らは通り過ぎながら首を捻る。ミッシェル以外眼中にない近衛騎士隊長、クラークは周りから「女性嫌い」と勘違いされていた。

そんなことにも気づかず、鼻血をこらえたアメリアはホッと一息つく。

「せっかく自由に通えるようになったのに……」

こっちの進展は何もないのに、昨日はエリオットから、形ばかり婚約者としての手紙が届いていた。

恐らくは、周りの目を考えて送ったのだろう。過ぎた日数を感じたアメリアは、もっと頑張らないとなぁと思いながら、同じく社交辞令のテンプレで「ありがとうございます」と返事を送った。

ここ数日観察して分かったのは、〝高貴なる令嬢〟は宰相である父と一緒に登城しているらしいことだ。

毎日、この時間にゆっくり過ごしている。時間はまちまちだけれど、そうしていると侍女らが迎えに来て、移動していってしまうのだ。

もしかしたら、父のもとへ行っているのか、別室で過ごされているのかどちらかだろう。そうして勤務を終えた父と一緒に帰る、と……。

「こうして見ていると、メインキャラじゃないのが本当に不思議だわ」

改めて彼女へと目を戻せば、ほぅっと息が口からもれる。

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