悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
そのタイミングで、いつもより早く侍女達の迎えがあった。それではまた、と嬉しそうに告げて、ミッシェルは彼女達と去っていった。



彼女を見送ったアメリアは、廊下に戻ったところで限界がきた。

辿り着いた柱で、ぺたりと座り込んでしまった。つい先程に到着していたのか、近衛騎士隊長であるクラークが片膝をついて肩を支える。

「よくぞやりました。おかげでミッシェル様の最高の笑顔を、この目に焼き付けることができました」

「うぅ、私もっ、嬉しくて死んじゃいそうですぅ」

「お前、言い方から伯爵令嬢らしさがなくなっているようですが、大丈夫ですか?」

「私はこっちが素なんですよぉおおおお!」

もうダメだ推し尊すぎる。緊張の糸が切れたアメリアは、彼に支えられたままえぐえぐと嬉し泣きした。

「ふむ。『意地悪顔に相応しい棘がついた薔薇、気高く美しい赤薔薇の伯爵令嬢』というのは、どうやら嘘だったようですね」

「そんな他人の評価なぞ、どうでもいいです。あのお方、ずっとお話し相手が欲しかったみたいなんです」

なんて可哀そうなミッシェル様っ。いくらでも喋ってあげますからね!

アメリアは、ただただ心から彼女を思った。泣きながら、そこにいたるまでの経緯についてクラークに話し聞かせた。

「なるほど、お前が『他人の評価謎なぞどうでもいい』と言わしめたのも、納得しました。さすがは私が認めた同志です」

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