悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
聞き届けた彼は、ハンカチを取り出すと、アメリアの涙をぎゅっぎゅっと拭った。まるで同僚か弟にでもやるみたいに色気はない。

「お前、時間が合った時は、私をあの方に紹介なさい」

「もちろんです。あのお方が尊すぎて前が見えないぃ」

「前が見えないのは、お前が泣き止まないからですよ。先に喋り友達に認定されたのが羨ましすぎます」

クラークが肩を支え、アメリアは素直に涙を拭われている。

近い距離で小さく言葉を交わす両者は〝高貴なる令嬢〟しか頭になくて、近くを通っていった男達が、若干ざわついてるいのも眼中になかった。



◆§◆§◆



それからというもの、アメリアはほぼ毎日王宮へと通った。

ミッシェルとの交流が続き、気づけば二週間が過ぎていた。数日目に王宮の午後一番の紅茶休憩に誘われ、それ以来ご一緒させてもらえるようになっている。

「父様の紹介で、城の本を読み始めたのがきっかけだったな。それ以来はまってしまって、タイミングが合えば一緒に登城させてもらっている」

「普段は、宰相閣下の自室で読書を?」

「ああ。実はたんまり本を借りて、移動してもらっているんだ」

「なるほどっ、定期的に大移動されているんですね!」

質問したクラークのそばから、アメリアはキラキラした目でそう言った。

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