悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
「えっ、あ、なんでもございませんわ!」

おほほほ、とアメリアはぎこちなく笑ってとりつくろった。

「ミッシェル様、どうぞ紅茶で喉を潤してくださまし、オホホ……」

「お前、言い方がおかしいですよ」

「うっ。指摘されたら、返す言葉が出てこなくなるじゃないですが」

困っていると、ミッシェルが『気遣わなくていいよ』と妹を見るみたいな目で微笑んで、何も言わずティーカップに口をつける。

そのタイミグで、クラークが眼鏡をかけ直してアメリアを横目に見た。

「さきほどのは、思い出し笑いですか?」

彼には、同志として最近素の方がバレてしまっている。ミッシェルの紅茶タイムにうっとりしたアメリアは、開き直って素直に笑った。

「クラーク様と知り合えて、良かったなぁって。推しのことを語り会えたり、この嬉しさを共有できるのがとても楽しいですっ」

「私もですよ。意外と、この時間は好きですね」

フッ、とリラックスしたような笑みを口角に浮かべ、クラークも紅茶を少し飲む。

それからしばらく、とりとめもない会話を楽しんだ。

本繋がりで話題が続いていくところもあった。珍しくミッシェルが夢中になっているのを見て、侍女達がティーカップを新しいものに入れ替えていった。

「君が少し心配だ」

ふと、ミッシェルがそう言ってきた。

「私、ですか?」

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