悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
「そうなったら、拾ってやってもいいですよ」

しれっとクラークが口を挟んできた。

推し仲間だと知って交流を持つようになってから、性別や立場の垣根をこえた信頼感が生まれていた。随分打ち解けたのを実感して、アメリアはこの世界でも友達が出来たんだなぁと嬉しく思った。

「あははは、そうなったら私と結婚してくれるんですか? 夫婦になるイメーシがありませんね」

「心から夫婦でなくとも、後継者作りはできますよ。私は男ですからね」

そう普通にやりとりしていると、不意にティーカップが少しテーブルに当たる音がした。

目を向けてみると、何故か恥じらっている〝高貴なる令嬢〟の姿があった。アメリアはきょとんとしたし、クラークも原因はなんだろうという表情だ。

府乗りの視線を集めたミッシェルが、スカートの上の手をもじもじとさせる。

「…………すまない。こういう話は、貴族同士では別に恥ずべきことではない、とは分かっているんだが……どうも、その……想像されて」

彼女が紅潮した顔をそむけて、ごにょごにょと言う。

――恥ずかしがっている姿が最高すぎる。

アメリアは、凝視したまま口顔の下を押さえて鼻血をこらえた。まさか、彼女がこの手の社交辞令もダメだとは知らなかった。

ごめんなさいミッシェル様、私は前世で三十代まで生きていたので、こういう話題も平気なんです。

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