悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
声をかけられて、アメリアは考え込んだ目を彼へ戻した。

つまり、この彼に無理に「連れていって!」とやらない今の私は、パートナーとしては舞踏会には参加しない、ということになるんだろうか。

ならば、やはりそれ以外の方法を考えなければ。

「殿下、あの、一つ確認してもよろしいでしょうか?」

「なんだ?」

「この婚約の契約内容についてですが――もがっ」

切り出そうとした途端、口を塞がれて壁へ押し付けられた。廊下の人々から隠すように目の前に立たれ、じろりと睨み下ろされたアメリアはギクリとする。

「堂々と口にするか普通? 場所を選べ」

「すみませんでした。どうか怒らないでください、少し頭の中が忙しかったんです」

もうしません、とアメリアはもらった花ごと手を胸へと上げて誓う。

エリオットが、まとっていた苛立ちの気配を消した。じっと見つめてきて、美しい顔を近づけられた彼女は首をすくめてしまう。

「なんでしょうか……?」

「見合いをした時より、活き活きしているなと思って」

そんなに気が抜けてしまっているのだろうか?

正直言うと、この世界でも〝推し仲間〟と出会えて、〝友達〟が二人もできたのは嬉しい。最近は、家の外でも肩から力が抜けられている自覚もある。

でも相手は〝悪役令嬢アメリア〟を嫌っている第二王子だ。伯爵令嬢として粗相のないよう気をつけなければ。

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