悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
ミッシェルは、本日もあまり飾り立てない品のあるドレスに身を包んでいた。時々絵に落ちてくる銀髪を、耳にかける仕草の一つすら絵になっている。

その美しい横顔は、読書に集中していて落ち着いている。

静かな佇まいは、美貌も相まって神秘的な空気もまとっていた。しかしよくよく見ていると、それはやはりどこか憂う影があるようにも思えた。

――が、現実離れした美しさだ。

この目でじっくり観察しようと思って凝視したら、いよいよ目に焼き付いてしまって、アメリアは「あ――――っ!」と両眼を押さえて上を向いた。

「綺麗っ、素敵っ、たまらんっ!!」

観察を始めてから、頭の中は最高潮に喜々としていて騒がしい。昨日のよく分からないエリオットの八つ当たり気味も忘れていた。

幸せである。この世界に生まれて良かった……っ。

そう噛み締めるアメリアを、広い廊下を通り過ぎていく者達が「こいつ、あぶねぇな……」「大丈夫?」という目で見やる。

さすがのアメリアだって、その痛いくらいの視線には気づいていた。

でも、そんな周りのことなど、いちいち構っていられない。推しへの愛は、たとえ自分に不審な目が向けられようともビクともしないのだ!

完全に開き直っているアメリアは、再びミッシェルの方を覗き込む。

「あっ、やっぱりしょぼっとしている感じがするわ」

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