悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
視線の先でミッシェルが、ふっと風景を目に留めてどこかぼんやりする。アメリアは、駆け付けたくてハラハラした。

もしかして、私とお喋りしたかったの?

昨日「今日も行けます!」と断言すれば良かった?

「あぁぁ、すごくそわそわするわ。やっぱりおそばに行きたい……!」

そんなアメリアの後ろを、人畜無害そうなワンコ系美男子が通った。

カリスマ的な感じは一切なく、雰囲気は平凡男子だ。しかし、すれ違う全員が愛想良く声をかけていく。それに応える彼の笑顔は、癒し系なイケメンである。

「ヒューゴ、これから殿下のところか?」

「はいっ。もっとお役に立てるように、ますます頑張ります!」

「ははは、あんな無理しないようにな。頑張れよ」

性格に裏がなく、心根は真っすぐ。一般庶民出で第二王子の従者を勤め、現在は公務にあたる彼の執務を助けている、純真で可愛がられる後輩タイプ。

――ワンコ系の攻略キャラ、ヒューゴ・ケインズ。

攻略キャラの中で、唯一の平凡気質キャラとして、女性達を癒し続けた大人気のイケメンだ。

けれどアメリアは、全く眼中になくて気づかなかった。

ワンコ系の美男子ヒューゴが、言葉を交わしながら通りすぎていった。その近くの柱に、彼女と同じく隠れるようにしていた令嬢達の姿があった。

こっそり様子を窺っていた令嬢達が、勇気を出してアメリアに歩み寄った。

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