悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
しかし、昨日の相談を気にかけてくれたらしい。頼まれたのだと衛兵が戸惑い気味にアメリアを待っていて、彼から預かったという手紙を渡してきた。

【ミッシェル様を頼みます】

こっそり確認してみると、そこには行けない旨などが、彼らしい言葉で書かれてあった。

――頑張りたいわ。でも、一体何か彼女を悩ませているのかしら?

アメリアは、向かい側で紅茶を飲んでいるミッシェルを上目に窺った。

ここ最近、意識して見るようになって分かった。気分が沈んでいる時、彼女は落ち着くためかハーブを選んでいる。

用意してくれるのは、おつきの専属侍女だ。もしやと思ってその一人に尋ねてみたところ、昔からそうであるとこっそり教えてくれた。

ミッシェルは不定期に、こうして元気がない時がやってくるという。けれど体調が悪いわけでもなくて、何かしら思いあたる出来事もなくて、みんな不思議がっているのだとか。

「どうかしたのかい?」

「えっ、いいえ。なんでもありませんよ」

考えていたアメリアは、声をかけられて我に返った。

今日も〝高貴なる令嬢〟ミッシェルは美しい。穏やかな眼差しで見つめられたアメリアは、改めてその顔を正面から見つめ、ほぅっと吐がもれてしまう。

こんな彼女を、良く思っていない人がいるというのが不思議だ。

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