悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
その日、朝からドキドキしていた。両親との朝食時間も集中できなかったし、兄のロバートのいつもの妹馬鹿もほとんど聞き流してしまった。

「すごく緊張するわ……いや、でも女は度胸よ!」

今日は、ミッシェルの嫌味を流していたこともあるだとかいう令嬢達から、直接話を聞き出すのだ。

アメリアは、気合を入れて戦闘モードで登城した。普段より衣装もばっちりと決めて、背中に流している髪もメイド達に朝からケアしてもらい艶っつやだ。

本日の件については、令嬢同士の話し合いだ。何かあってクラークに迷惑をかけてはいけないと、アメリアは一人で頑張るつもりだった。

スカートは危険だとかで、先日に話をしてくれた令嬢達〝ヒューゴのファンクラブ〟の子達に、男装を手伝ってもらう予定になっていた。

「そもそも男装をしなければならないほどの相手って、一体何者なのかしらね……」

やっぱり、考えるとちょっと不安が蘇ってくる。けれど、もうここまで来てしまったのだ。引き返すわけにはいかない。

アメリアは、目に前の王宮を毅然と見上げた。

「さあっ、勝負の時よ!」

そう意気込んで王宮を進んだ。

――のだが、数歩進んだところでギクリとした。

「勝負の時って、なんだ?」

なぜか、王宮に入ってすぐのところにエリオットがいた。まるで待ち構えていたみたいに、入り口近くの壁にもたれかかってこっちを見ている。

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