悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
「ぇと、時間に間に合わないと困りますので、私はこれで――」
「婚約者である俺も無視した用事か?」
退出しようとした途端、前を遮られた。
そのまま壁に追いやられてしまったアメリアは、不思議に思ってエリオットを見上げた。この距離なら周囲に聞こえないだろうと、こっそり彼に尋ねる。
「あの、殿下? そもそも、この婚約は〝振り〟ですし、個人的な少しの用件をあなた様にお伝えしておく必要はございましたでしょうか……?」
互いに好きにやるという〝契約〟だった。
そう思い返して確認したら、エリオットがより不機嫌な表情になった。必要もないことだと教えただけなのに、どうして機嫌を損ねているんだこの人は!?
「まず、殿下呼びはやめろ」
「は……? いえ、王族でございますし、わたくしにはその権限もございませんので」
「婚約者なのに、か」
不意に手を掴まれ、今にもくっつきそうなくらいの距離まで迫られた。
近くから彼と目が合って、アメリアはびっくりした。二次元の中だけだと思っていたのに、美しい顔のドアップが自分の目の前にある。
「ひぃぇぇ」
自分が、ゲームや漫画の女の子みたいなことをされている。より気も動転して、か細い声がアメリアの口からもれる。
「あ、あああの、だから〝振り〟でしょう!?」
「『ひぃぇぇ』?」
「婚約者である俺も無視した用事か?」
退出しようとした途端、前を遮られた。
そのまま壁に追いやられてしまったアメリアは、不思議に思ってエリオットを見上げた。この距離なら周囲に聞こえないだろうと、こっそり彼に尋ねる。
「あの、殿下? そもそも、この婚約は〝振り〟ですし、個人的な少しの用件をあなた様にお伝えしておく必要はございましたでしょうか……?」
互いに好きにやるという〝契約〟だった。
そう思い返して確認したら、エリオットがより不機嫌な表情になった。必要もないことだと教えただけなのに、どうして機嫌を損ねているんだこの人は!?
「まず、殿下呼びはやめろ」
「は……? いえ、王族でございますし、わたくしにはその権限もございませんので」
「婚約者なのに、か」
不意に手を掴まれ、今にもくっつきそうなくらいの距離まで迫られた。
近くから彼と目が合って、アメリアはびっくりした。二次元の中だけだと思っていたのに、美しい顔のドアップが自分の目の前にある。
「ひぃぇぇ」
自分が、ゲームや漫画の女の子みたいなことをされている。より気も動転して、か細い声がアメリアの口からもれる。
「あ、あああの、だから〝振り〟でしょう!?」
「『ひぃぇぇ』?」