悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
アメリアの口からこぼれた本音の声を、エリオットが繰り返してチラリと秀麗な眉を寄せる。

「お前、動揺すると一気に色々崩れるみたいだな。そういえば、見合いの時も少しあったような」

「ひぃ!? ちょ、アップは勘弁してください」

ほんの少し考えたかと思ったら、エルオットがずいっと顔を寄せてきて、アメリアはいよいよ慌ててしまった。

「殿下近いですっ、それから手を離してください!」

「嫌だ。もっとよく見せろ」

「ぐぇっ」

不意に顎を掴まれ、上を向かされた。

目の前にあるエリオットの眼差しが、強くアメリアを覗き込んでいる。その黒い髪がさらりと落ちて、今にもアメリアにかかりそうだった。

吐息が触れそうなくらいに、近い。経験にもないことで、無性にドキドキしてしまった。一体何がどうなっているのやらと、混乱して動けない。

「情熱色の赤い薔薇の瞳だな」

「ぴぎゃっ、いきなりなんなんですか!?」

「ふうん、『ぐぇ』のあとは『ぴぎゃ』ときたか。少し試してみたくなったな。――我が婚約者は、その赤薔薇色の瞳だけでなく、全てが美しい」

口調はいつも通り落ち着いているが、淡々と口説き文句みたいなことを唐突に言われた。

アリメアは、慣れなさすぎて「ひぃえぇえぇ」と変な声を上げた。もう半ば涙目になりかけてているのを、じっとエリオットが見つめる。

「で、ででで殿下ご勘弁くださいませ」

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