惹かれたのは強く、眩しい子で。





「あら、王女様」


「こんにちは」



ぼんやりとしていたところにリラ様の声が聞こえる。


気を引き締め直せば、薬室長のハンナさんと籠と書類を手に持ったユーゴがいた。


リラ様はユーゴに会えて嬉しいはずなのに、ノーティ様の前だからか、ユーゴには目を向けず、まっすぐハンナさんだけを見て凛と立っていた。



「リラ王女、こちらは?」

「薬室長のハンナです。ハンナ、こちらノーティ伯爵家の御子息です。」


「ノーティ伯爵の?…こんな息子がいたのか。」


「テオ・ノーティと申します。以後お見知り置きを。」


手を胸に当て、うやうやしく礼をするノーティ様

その様子をハンナさんは感心したように見ている。けど…、その隣で頑なにまっすぐハンナさんだけを見つめるリラ様を見て、寂しそうに笑った。



「王女様、偉いね。良い子良い子」

固まってしまってるぐらい頑ななリラ様の頭を撫でるハンナさん

一瞬むっとした表情を見せたけど、大人びた笑顔をハンナさんに向けたリラ様



ずっとハンナさんの隣で一歩後ろに引いてたユーゴがリラ様の笑顔に見惚れていた。





ハンナさんは知っているのだ。
リラ様がユーゴに惹かれていて、暇さえあればユーゴに会いに行っていることを。


そして、王女であるリラ様が今取っている行動を褒めていると同時に悲しみを感じているんだ。



ノーティ伯爵家の御子息の前で個人的な感情を見せないように振る舞う王女としての姿

けれど、目の前にいるのは12歳の女の子でもある。そんな小さな子が自分の立場を理解して、自分の気持ちを押し込めて、ハンナさんしか視界に入れないようにする姿




頭を撫でられながら、大人しくしているリラ様を見て涙が溢れそうだった。


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