何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】
「すごい星だねー!」
「そうやな。」

その日の夜、天音とりんは外に出て星を見ていた。
反乱軍はなんとか国の軍をまいて戦いは一段落し、別の場所にテントを張り、そこで休息を取っていた。
そんな中、天音を外へとつれ出したのはりんだった。
そして、無数の星を見つめる天音の顔は、何かがスルッと抜け落ちたかのように、晴れやかな顔に戻っていた。

「私にも何かできるかな…?」

天音が星空を見上げたまま、つぶやいた。

「天音…。」
「私決めたよ。」

彼女の瞳は澄んでいた。そこに広がる星空のように。
少し前の濁った瞳は、もうそこにはない。

「私も生きていきたい。この国のみんなと。」

天音は星空を見上げながら、その決意を言葉にした。
彼女はもう一度、前を向いて歩いて行く事を決めたのだ。
その顔にはもう迷いなどない。

「天音。」

りんはそんな天音をじっと見つめた。

「信じる道の先には幸せがある。きっと。」

その目に映る星空がいつまでも輝くように。
りんは天音の隣でそっと祈った。


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