何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】
「おっかしーな?どこで落としたんだろう?」
天音は、ピアスが無くなってしまった事に気が付いてから、部屋の中をくまなく探していた。
「もー。大事なピアスなんでしょ。」
華子も呆れながら、探すのを手伝ってくれていた。
しかし、ピアスはどこにも見当たらない。
「うん…。やっぱ、部屋じゃないのかな?ちょっと私外を探して…。」
天音はそう言って、部屋のドアノブに手をかけた。
ガチャ
その瞬間、突然、部屋の扉が開いた。
「うわ!」
天音が力を入れる前に扉が開いたので、天音はドアノブに体を持っていかれそうになった。
「外には出るな。」
その扉を開けたのはもちろん天音ではなく、外に居た兵士だった。
「へ?」
天音はその兵士が放った言葉に、ポカンと口を開け、首を傾げた。
「部屋で待機していろ。」
バタン
そう言われて扉が勢いよく閉められた。
「もうすぐ、夕食なのに何かあったのかな?」
華子は呑気にそう言って、椅子へと腰を下ろした。
「でも…星羅いないよ?」
天音は気がついていた。
星羅が部屋にまだ帰って来ていない事に…。