身代わり花嫁は若き帝王の愛を孕む~政略夫婦の淫らにとろける懐妊譚~
「仁の妻になるということは、京蕗家に嫁ぐということなのよ。京蕗家は旧財閥の名家、嫁としての役割がたくさんあるわ」
菖蒲は笑顔を崩さず、ゆっくりと椿をたしなめる。なにも知らぬ無知な子どもにひとつひとつ諭すように。それは洗脳に近かった。
「椿にはできないわよね?」
「……今すぐには無理でも、私、頑張るから――」
「椿」
菖蒲の手が伸びてきて椿を優しく包み込んだ。突然の抱擁に椿の思考が停止する。
「椿は私よりできないことがあって当然よ。だって私は椿より五つもお姉ちゃんなんですもの。己の未熟さを認めるのもとても大事なことよ」
もっともなことを言われ、椿は反論できなくなった。
自分は姉より劣っている。でもそれは当然のこと。そうか、だってお姉ちゃんなんだもの――そう納得しかけたところで、心のどこかが違うと拒んだ。
仁が好き、仁の傍にいたい、そんなワガママに似た感情を押し込めることができない。
なにより、仁との間に子どもができたのだ。まだ見ぬこの子のためにも、仁とは一緒になるべきだ。
しかし、わずかに体を離した菖蒲に氷のような目で射貫かれて、口が開かなくなった。
菖蒲は笑顔を崩さず、ゆっくりと椿をたしなめる。なにも知らぬ無知な子どもにひとつひとつ諭すように。それは洗脳に近かった。
「椿にはできないわよね?」
「……今すぐには無理でも、私、頑張るから――」
「椿」
菖蒲の手が伸びてきて椿を優しく包み込んだ。突然の抱擁に椿の思考が停止する。
「椿は私よりできないことがあって当然よ。だって私は椿より五つもお姉ちゃんなんですもの。己の未熟さを認めるのもとても大事なことよ」
もっともなことを言われ、椿は反論できなくなった。
自分は姉より劣っている。でもそれは当然のこと。そうか、だってお姉ちゃんなんだもの――そう納得しかけたところで、心のどこかが違うと拒んだ。
仁が好き、仁の傍にいたい、そんなワガママに似た感情を押し込めることができない。
なにより、仁との間に子どもができたのだ。まだ見ぬこの子のためにも、仁とは一緒になるべきだ。
しかし、わずかに体を離した菖蒲に氷のような目で射貫かれて、口が開かなくなった。