身代わり花嫁は若き帝王の愛を孕む~政略夫婦の淫らにとろける懐妊譚~
「仁の気持ちになってよく考えてみて。私と椿、どちらを妻に迎えたいと思うか。自然と答えは出るはずよ」

百合のように真っ白な肌と、芍薬のように艶やかな微笑み――自分より数段美しい姉を前にして、椿は自分が仁に相応しいなどとは言えなくなった。

『仁の気持ちになって』と言われ、椿は余計にわからなくなる。自分やこのお腹の子は、本当に仁に必要とされているのだろうか。



菖蒲の帰宅を仁に報告しないわけにもいかず、すぐに父が連絡を取った。

菖蒲本人は明日にでも店に立ちたいと言っているため、これまで通りみなせ屋で接客を手伝わせるつもりであることを報告した。

その他のこと――店を継ぐ気があることや、仁の婚約者に戻りたがっていることは伝えていない。

気まぐれな菖蒲に父も不信感を募らせているのだろう、また家を出ていかれるようなことがあっては困る。

父が電話で報告している様子を姉妹はじっと見守っていたが、仁はすんなりと了承してくれたようで、特にもめることもなく通話が終了した。

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