ホテル王に狙われてます!ハニートラップから守るはずが、罠にかかったのは私でした?!


エレベーターが閉まると同時に、ロビーから長身のキリッとした男性が現れた。
いかにも仕事が出来る男という感じで、フロントカウンターにいる高木奏の前まで来ると、

「私、高遠副社長の秘書をしております、田辺と申します。」

と言って、名刺を差し出した。奏は名刺を両手受け取ると、

「お待ちしておりました。今担当の者を…。」

と、言いかけたところに、

「田辺さん!」

と専務が、清水さんと共にやってきた。

「高木さん、下がっていいよ。」

と専務が言うと、奏は、スッと後ろに下がった。
専務と清水さんはカウンターを出て、田辺さんの前まで来て、専務は清水さんの紹介を始めた。しかし、田辺さんは話を半分ほど聞いたところで、

「専属担当をお願いした春名さんは今どちらに?」

と、質問をしてきた。専務が、カウンター越しに

「高木さん、春名さんは?」

と確認してきた。

「春名さんは今、お客様をお部屋にご案内中です。」

と答えると、今度は田辺さんが、直接高木さんに質問してきた。

「そのご案内中のお客様の名前と部屋番号は?」

「え?」

思ってもない質問に奏は驚いた。だがすぐにPC画面を確認して、

「ええと、森本様で1011です。」

と答えた。

「ありがとうございます。少し失礼します。」

と言ってツカツカとエレベーターの方へ行ってしまった。専務と清水さんは呆気に取られたがすぐに、田辺さんの後を追いかけた。

一緒にエレベーターに乗り込むと、

「あの、どういうことでしょうか?春名はお客様のご案内が終わればすぐに戻りますが…。」

「大丈夫です。お客様に迷惑をかけるようなことは絶対に致しません。少し確認したいことがあるだけです。」

「はぁ…。」

わけがわからないまま、専務と清水さんは田辺さんの後に付いていった。
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