ホテル王に狙われてます!ハニートラップから守るはずが、罠にかかったのは私でした?!
1011号室の扉は開け放たれており、中から、話し声が聞こえている。
「この辺りで、美味しいお店はありますか?」
「観光地に近いので、美味しいお店はたくさんございますよ。もちろん、ここのホテルのレストランもオススメですが。和洋中、どれがご希望ですか?」
「ん~そうだなぁ。春名さんの行きつけのお店とかありますか?」
「え?私のですか?」
と、答えたところで、
「いい加減にしてくださいっ!!」
と言って、田辺さんが1011号室に入ってきた。
「え?!」
突然の他のお客様の乱入に驚いたが、専務と清水さんが目に入り、これは大丈夫なんだと思った。
そしてさらに耳を疑う言葉が、田辺さんの口から出た。
「副社長、ここで何をしているんですか?」
「え?!」
美夕だけでなく、そこにいた専務と清水さんも驚いた。
森本様は悪びれる様子もなく、
「いや~見つかったか。さすが田辺。」
と言って、頭を掻きながらベッドに座った。
「すぐに着替えて部屋を移動してください。」
と言って、田辺はスーツの入った鞄をテーブルに置いた。
「分かったよ。」
と、言いながら、立ち上がると、美夕の方を見て、
「じゃあ、春名さん、また後で。」
と言って鞄を開け始めた。
秘書の田辺が、私達に向かって
「大変失礼致しました。外でお待ち頂けますか?」
と言ったので、
「承知しました。」
と言って美夕は部屋の外に出た。扉を閉めると、すかさず清水さんが、
「もしかして森本様が副社長って知ってたの?」
と聞いてきた。
「まさか!私もとても驚きました。」
「そうなのね…。」
「まぁまぁ、何か事情があってのことでしょうから。後で説明してくれるでしょう。」
と、専務が清水さんをなだめるように言った。