ホテル王に狙われてます!ハニートラップから守るはずが、罠にかかったのは私でした?!
高遠副社長は、空港内のショップが立ち並ぶ通りをスタスタと歩いて行く。
美夕はその後に付いて歩くが、高遠副社長は、〇ニクロの前を素通りしていく。さすがにこれより先の店は、手の届く価格ではない。美夕は、咄嗟に高遠副社長に声を掛けた。

「あの、副社長!私〇ニクロで購入します!」

その声に高遠副社長も立ち止まる。

「〇ニクロもいいけど、向こうに高遠グループの系列の店があるから、出来ればそこで購入したいんだ。」

「そうだったんですね。失礼致しました。」

そう言って美夕は何事もなかったかのように、再び高遠副社長の後ろを歩き始めた。
しかし、内心はヒヤヒヤしていた。

『たしか高遠グループの店は一桁違うはず…。リボ払いするしかないかしら…。』

美夕が肩を落とすと、高遠グループの系列の店に着いた。
高遠副社長は、店の中に入り、美夕に好きな物を選ぶよう告げると、店員と何やら話し始めた。

美夕は、

「分かりました。」

と、返事をすると、値札優先で見て回った。

『1番手頃な価格は…』

しかし、いいなと思う物は全て高額だった。
すると、先ほど高遠副社長と話をしていた店員が、美夕に声をかけた。

「試着も出来ますので。」

「はい、ありがとうございます。」

「高遠副社長から一式揃えるよう言われておりますので。」

「一式ですか?」

「はい。靴もあちらにございます。展示品以外のサイズもご用意できますので。」

『本当に勘弁してほしい!これだから庶民の金銭感覚とかけ離れている人は!』

そう思いながらも、店員には、笑顔で返事をした。

「はい、ありがとうございます。」

副社長の気持ちも分からないことはない。経営陣側の人間として、他社でお金を落とすより、
自社グループ企業にお金を落としたいと思うのは当然のことだ。美夕も頭では分かっている。
がしかし、さすがに一式購入するとなると、かなりの高額だ。

美夕は思い切って、店員に小さな声で、

「あの、ここって社割とかありますか?」

と、聞いた。店員は一瞬驚いた表情を見せたが、

「ありますけど、高遠副社長が社割は使わなくていいと。定価で請求するようおっしゃってました。
春名さんが気に入ったものは全て購入するから、全部高遠副社長がお支払いすると。」

「は?」

店員の予想外の返事に美夕は驚いた。

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