ホテル王に狙われてます!ハニートラップから守るはずが、罠にかかったのは私でした?!
トータル20分ほどの待ち時間で美夕の名前が呼ばれた。

「では、行ってきます。」

「はい。ここで待っています。」


緊張した面持ちで診察室に入ると、座っていたのは優しそうな女医だった。問診の後、内診があり、一通りの検査が終わると、

「おめでとうございます。2ヶ月ですね。今日はご主人もご一緒ですか?」

と言われた。

「いえ、結婚はしていなくて・・・。あの人は恋人ではなく付き添いで・・・。」

どう説明すればよいか分からず、途中で口ごもってしまった。その時の美夕にはそう言うのが精一杯だった。
女医は、美夕の言葉を聞くと、椅子をくるりと動かし、デスクの上のファイルから、一枚の用紙を取り出した。

「一応お渡しておきますね。堕胎手術をされる場合は妊娠22週未満と定められていますので。
産むか産まないか、お相手の方とよく話し合ってください。産む場合は、区役所で母子手帳をもらってきてください。
中山さん、春名さんに説明を。」

と言った。看護師はすぐに、

「では、こちらに。」

と言って、隣の別室へ美夕を案内した。

小さな別室では、クラシック音楽が流れており、丸いテーブルと椅子が二つ。部屋の角には観葉植物が置かれていた。

看護師の中山さんは、丁寧な優しい口調で、

「どうぞ、おかけください。」

と、美夕に促した。

美夕は言われるまま、椅子に座った。
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