体育祭(こいまつり)
 悠香が寂しく微笑んだので、何か言おうとしたときだった。

 大きな歓声が上がった。

 先頭集団が戻ってきたのだ。
 健二は? さっき苦しそうだったけど……。
 ――いた!
 徳山君はやはり先頭集団にいて、健二もその中に残っていた。
 ラストスパート。みんなのペースが上がる。二人とも苦しい顔だ。

 走る。走る。走る。

 がんばれ!!

「あ……!」

 終わりはあっけなかった。先頭集団はそれほど差がなくゴールした。ゴールした男子たちは、きつそうにグラウンドに倒れこみ、呼吸を整えていた。

「!」

 強い視線を感じた。
 熱い息を吐いている健二だった。

「どうしよう。健二が見てる」
「……。前、私が言ったこと覚えてるよね?」

 健二に負けずと真剣な悠香の瞳が私を映していた。

「……うん。考える。考えてみるよ」

 結局、健二は八番だった。

「健二ってバスケ部だよね?」
「うん。がんばったね。あいつ」

 凄い健闘だった。
 徳山君はというと、なんと三番だった。

「徳山君も執念だね。一年なのに、三番って……」

 少し呆れたように悠香が言った。

「さて、期限は明日の解散まで、か……。どうなることやら……」
「……」

 先ほどまで、がんばれ! としか思えなかった頭がようやく回転しだした。

「どうしよう……」
「こればかりは、私が変わってあげられないからね。自分の気持ちとちゃんと向きあいなよ」
「そう、だね……」
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