体育祭(こいまつり)
 ブロック席に戻るとき、

「ごめんね。二人で食べればよかったね」

 と言ってきた悠香に私は頭を振った。

「うううん。いい。ブロック違ってたら話せなかった人たちだし……。悠香は凄いね。誰とでもすぐ友達になっちゃう」
「そう? お母さんだけどね」
「私はお姉さんって言ったよ?」
「よしよし、愛いやつめ」

 悠香は私の頭をなでた。

「さて、応コンだよ」
「うん。がんばらなきゃね!」

 うちの学校の応援コンテストの練習が聞こえてくると、周囲の住民たちは、夏を感じるという。それだけ声が響いているらしい。

 去年は声ががらがらになるまで歌った記憶がある。

 なんでそんなに熱くなれるのか、二年目の私はそんなことを思う余裕があるけれど、でも、だからと言って、負けたくはない。

「うん。がんばろう。今日のために練習してきたんだもんね」
「だね~。何でこんなにがんばるのかわからないけど。がんばったもんね」
「悠香、私も同じこと考えてた」

 私はくすりと笑った。

「お、何笑ってんだ?」 

 健二だ。

「なぜ、体育祭に熱くなれるのかなって」

 悠香の答えに、

「それは愛のためだ!」

 片手を胸にもう一つの手を天にかざして、わざとらしく叫んだ健二を、ばしっと悠香が叩いた。

「あんた、暑苦しい」
「酷いよなあ、りり。この、俺の熱い愛を受け止めるがいい、愚民ども」
「は? 何が愚民よ! 頭おかしいんじゃないの?」

 まだ言う健二に突っ込む悠香。

 夫婦漫才みたいだ。と思って、私は寂しく笑った。

 また、だ。

「とにかく、がんばろーな、応コン」
「うん」
「あんたに言われなくてもがんばるわよ」

 そして、応援コンテストは始まった。
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