体育祭(こいまつり)
 他のブロックの声は聞こえ、パネルは見える。

 凄い音量。そして、面白いパネル。

 競技の中に入ってはいるけれど、応援コンテストは他のブロックがどんなパネル技術を使ってくるか、つい楽しんで見てしまう。

 秋の高い空に、応援歌が響き渡っていた。私たちも負けられない。

「次だね」
「うん」

 私は結局、今年も声が出なくなるほど歌ってしまった。パネルもがんばったと思う。ミスは……考えるのはよそう。15分ぐらいはあるのに、あっという間だった。

「?」

 ふと視線を感じて、振り向くと、健二の目があった。私の目と合った瞬間、健二は一瞬目を伏せて、その後、にかっと笑った。よくわからなくて、私はとりあえず、笑い返した。


 応援コンテストの後は騎馬戦の決勝が行われた。
 うちのブロックは残念ながら午前の試合で負けたので、三位決定戦に望んだ。

 順位がなんだ。がんばっている男子はかっこいい、それでいいじゃないか、と思えた。

「意外に点数の差、ついていくよね」

 得点版を見やり、悠香は言った。

「ほんとだあ。うちのブロック三位か……。あ、でも二位とはまだ次の男女混合リレーで勝てばなんとか、ならない、かな?」
「うーん、そうだね。でも、もう、一位は無理だねー」
「……そうだね、残念だけれど」
「でも、得点がすべてじゃないって思える」
「私もそう思う。がんばることが大切なんだよね」

 社会に出れば、がんばっても報われないこともあるということを、得点版は示しているようではあったが、まだ高校生の私たちは、逆に得点が全てじゃないと思うのだった。

「次、男女混合リレーだね。八百と四百」
「……徳山君、たぶん八百に出るんだ。練習してたもん。違うブロックだけど、応援してもいいよね。それとも応援しないほうがいいのかな」

 私は自分の手の指先を見つめながら言った。

「馬鹿ね、応援されたほうが嬉しいに決まってるじゃない!」

 悠香が微笑む。

「うん」
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