体育祭(こいまつり)
 ……あ。また音が。
 ……さっきから音が止まない。

 反省会のために、それぞれのブロックは所定の場所へ集まろうとしていた。

 また健二の視線を感じた。

 今は息苦しいのではない。

 音が。
 するから。

 だめ。

 私が逸らそうとすると、健二は近づいてきた。

 健二が段々近くなる。音が大きくなる。健二が。

 どくん。

 音が……!

「この鈍感!」

 反射的に逃げようとした私の手を健二が掴んだ。

「!」

 それからは何が起こったかよく分からなかった。振り払おうとしても、健二の手は離れず、そして。

 息ができない!!

「俺はお前が好きだ! いい加減気づけ!」

 やっと離れた健二の唇がそう言葉を紡いだ。

 ヒュー

 と回りにいた学生がはやし立てている。なんだかいろいろ言われているが、何も耳に入ってこなかった。

 私……。

 瞬きも忘れて、私は自分の唇に手を当てた。キスは初めてではない。でも、健二は初めてだったのかもしれない。

 こんなに拙いキス。なのに。

 拒めなかった……。うううん、拒もうとしたよ? 無理やりだったから、だからだよ。

 ――本当にそうだろうか。じゃあ、どうして私何も言えないの? 怒らないの?
 考えなきゃ。悠香のためにも。
< 22 / 24 >

この作品をシェア

pagetop