体育祭(こいまつり)
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私と健二は付き合いだした。
親友のときもよく一緒にいたわけで、あんまり変わりがないといえばそうなのかもしれないけれど。
でも一緒にいるとどきどきする。
そんな一瞬一瞬が愛おしい。
「どうした? りり」
健二の声が頭上からする。この低い声が好きだと思う。
「幸せだなって」
腕を絡ませ答える。
温かい健二の体温が伝わってくる。
こうやって健二と腕を組むのは私だけでありたい。
今はそう思う。
「親友の別れを願うほど落ちぶれてないわよ。というか、別れたときのりり見てるから余計に別れてほしくない」
そう言っていた悠香。そんな悠香が最近私に耳打ちしてきた。
「好きな人、できたかも」
「! よかったね!!」
「よーし、来年、キスしてもらうよう、頑張るぞ! っていうか、こっちからするのもありなのかな?」
それはよく分からないけれど、今回私たちは大勢の前でうまくいったため、体育祭でキスをすればうまくいくというジンクスはますます知れ渡った。
「なんか、やっぱり納得いかないんですよね。もし、別れても、僕がいますから」
私と健二を前にして、徳山君がさらりと言った。
「ばーか、別れるかよ」
私を後ろに隠すようにして、健二がほえている。
「こんなあほっぽい先輩でいいんですか?」
私は笑う。
いいんです。と心の中で言いながら。
おしまい


