天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
「お庭に行きましょう。薔薇が、とっても素敵。ディートハリュト……ハルト殿下は、薔薇はお好き?」

 再び噛んだ。彼の名前は長いし、言いにくいのだからしかたない。また、カークがにやにやして、ひっぱたいてやろうかと一瞬考えた。

 だが、ここで喧嘩をふっかけてもしかたがないので、「カークもよ」と、乳兄弟も庭に連れ出した。

 ジェラルドとお茶会をした薔薇の広場の薔薇は、もう最盛期を過ぎている。だが、そこから離れたところ、池の側にも真夏に近い頃に咲く薔薇ばかり集めた一角があるのだ。

 ミリエラが先頭を歩き、半歩遅れてディートハルトが続く。そして、最後尾がカークだ。

「見て見て、薔薇がすごいでしょ!」

「これは……素晴らしいね」

 美しい薔薇なのだが、毎日この庭園を走り回っているカークの反応は鈍いし、ディートハルトの反応もいいとはいいがたかった。素晴らしい、は完璧に社交辞令である。

 とりあえず庭に連れ出してみたものの、男の子達の興味を引くのは、難しかっただろうか。

 だが、ミリエラには秘策がある。エリアスの力を借りて、彼らにも素晴らしい景色を見せてやろう。

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