天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 ハンデをくれるという話だったはずだが、ふたりともミリエラの存在なんて完全に忘れている。だが、そのくらいでちょうどいいだろう。

(ディートハルト殿下、なんだか思いつめた顔をしているし……)

 王族の中で、マナを持たないというのは本当にめったにないことなのだそうだ。

 一般の人の間では十人にひとりくらいはいると聞いているが、王族からは百年ほどマナを持たない人物は出ていないらしい。

(やっぱり、肩身が狭いのかなぁ……)

 と、大人の観点から彼に同情してしまう。

 母はもういない。継母は、それなりに大切にしてはいるだろうが、本当の母ではない。

 弟も生まれ、新しい家族の絆が作られようとしている中。マナを持っていないなんてことが明らかになったなら。

(うん、私なら拗ねてダメ人間になってしまうかも)

 ミリエラは、自分の心がさほど強くないことを知っている。もし、自分だけ家族の中の異分子だということがわかってしまったら。

 投げやりになって、自分の義務も投げ捨ててしまうかもしれない。

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