天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 ディートハルトはカークがしているように、指先で魔石をつまんでいる。ミリエラと視線が合ったら、彼はちょっと照れたように笑った。

「スライムの魔石にそそぐマナは、本当に本当に少しだって言うから。もしかしたら、僕でもできるんじゃないかと思って」

 その表情に、何も言えなくなってしまった。

 ディートハルトは、マナを持っていないことから、王位継承者から外され、グローヴァー侯爵領で暮らすことになった。

 ここでは、さまざまな魔道具が開発されているからというのがその理由とされているが、体のいい厄介払いなのだろうなというのも、薄々と理解している。

 あえてそれをディートハルトの前で言うつもりもないけれど、ディートハルトもわかっているのだろう。王宮に帰りたいと駄々をこねているところは一度も見たことがない。
 ここでの生活を楽しんでいるのも嘘ではないだろうけれど、彼の中でも昇華しきれない気持ちが残っているのだろう。

「それはミリィにはわからないけど……ん?」

 ディートハルトが魔石に一生懸命マナを注いでいる。というか、魔石に意識を集中している。

< 192 / 294 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop