天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 子供らしいカークと比較すると、ミリエラは明らかに大人びている。王族特有の厳しい教育を受けてきたディートハルトよりもだ。
 時々二人を、妙に落ち着いた目で見ていることもある。まるで、年の離れた姉のような。
 ジェラルドが長い間放置し、カーク以外の子供と触れる機会もなかったから、ミリエラの子供時代はもう終わってしまったのではないかとさえ考えることがある。
 それは、ミリエラが錬金術を学び始めてから顕著となった。

「ねえ、パパ――ミスリルってどこまで薄くできるの?」

 素材の持つ効能について、今までに判明したことをまとめた辞典をひっくり返しながらミリエラは問う。この辞典は、毎年のように改訂版が出るのだ。

 新しく見つかった素材の使用方法や注意点など、錬金術師達が共有すべき発見が毎年あるからだ。来年には、スライムの魔石についての情報が新たに加わるであろうこともジェラルドのところには伝わっている。

「そうだね。紙と同じくらいは薄くできるよ」

「そこまでしたら破けちゃう?」

「保護の魔術をかけておけば、よほど強い力をかけない限り破れることはないと思うよ」

「そっか。ありがとう」

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