天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 廊下を歩きながらジェラルドが立ち止まったので、ミリエラは袖を引いた。

「すまないね。しばらくぶりに来たものだから――ここは、思い出が多すぎて」

 そう言えば王都の屋敷に入った時も、ジェラルドは同じようにしていた。それを思うと、ミリエラの胸がぎゅっと締めつけられる。

 父は母のことを忘れていない――今でも。

 母のことを懐かしく思うのは嬉しいけれど、父の胸がその度に痛むのを見ていると、ミリエラの胸までが締めつけられるような気がしてくる。

「行こう、パパ」

「そうだね。陛下をお待たせするわけにもいかないし」

 再び廊下を歩きながら、ジェラルドは表情を引き締めているようだ。だが、彼の進む足取りは重い。もしかしたら、これから先、何か嫌なことが待ち受けているのではないだろうか。

「グローヴァー侯爵とお嬢様、こちらからどうぞ」

 立派な扉の前に着くと、案内係と思われる人が立っていた。彼は、目の前の大きな扉を開き、中にふたりを誘導する。

 ジェラルドは、ミリエラをそっと見つめた。ミリエラの方も、こくんと首を縦に振る。

 大丈夫、父と一緒だから大丈夫なのだ。

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