天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 ミリエラに見せてくれる優しい微笑みは、どこにもない。これが貴族としての表情なのだろうか。

「あなたが、宮中を去って寂しいと思っていたのよ。久しぶりに会えて嬉しいわ。それに、とても可愛らしいお嬢さんね」

「何にも変えられない大切な宝物です」

 王妃は、ミリエラを見ると目を細めた。

(……でも、この人。私のことを好いていない、気がする)

 どうしてそう思ったのか、ミリエラにもわからなかった。

 だが、王妃の顔にはミリエラを歓迎していないような表情が浮かんでいる気がしてならない。

「グローヴァー侯爵。保冷布はあなたの娘の発明なのですって?」

「はい。スライムの魔石は非常にもろいのですが、ごくごく微量のマナを注いだ時のみ、利用できることがわかりました」

「今年の夏、保冷布は王宮で大流行りだったのよ。来年の夏は、もっと欲しがる人が増えるでしょうね」

 王妃の言葉の意味がわからず、ミリエラも父もきょとんとしてしまった。ふたりに向かって、王妃は微笑みかけた。

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