天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 オーランドの腕の中にいるのが申し訳ないように思えてきて、彼の腕から滑り降りる。

「こんにちは、パパ。何かご用?」

 首を傾げ、問いかけた。ミリエラのその様子に、ジェラルドは唇を引き結んだ。

(……別に私に会いたかったわけではないんじゃ……)

 ミリエラも唇を強く結んだ。なぜ、父はミリエラをここに呼び出したりしたのだろう。

「夕方には、別館に戻すよ」

「そのまま、本館にお連れになってもかまわないんですよ?」

「……そうだね、ニコラ」

 オーランドの側を離れ、ジェラルドの方に近づく。

 無表情のままミリエラを見ていたジェラルドは、手をズボンにこすりつけた。

 それから、その手をミリエラの方に差し出す。どう対応したらいいのかなんて、迷う必要はなかった。

 差し出された手に自分の手を重ねたら、壊れもののようにそっと握られる。

 玄関ホールに入ると、背後で扉が閉ざされた。ホール内を見回したミリエラはショックを受けた。

(これ、本当に人が生活している空間なの……?)

 ここは、侯爵家の本館だったはず。だが、玄関ホールに置かれている家具には、カバーがかけられていた。

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