悪役令嬢ですが死亡フラグ回避のために聖女になって権力を行使しようと思います
「レティお嬢様、見て見て!」
朝から孤児院に向かうと、神殿の廊下でうれしそうに寄ってきたのはリンちゃんたちだった。
いつもの四人がうれしそうに私のところに駆け寄ってきた。
「あ、リンちゃん。どうしたの?」
「グレンお兄ちゃんが魔法で綺麗に塩を取る方法を見つけたの!
これ、私たちが作った塩!」
そう言って桶いっぱいの塩を取り出した。
「ええええ! 本当!? すごいグレンお兄ちゃんすごい!」
私が桶を覗き込むと、たしかに桶いっぱいの塩がある。
「すごい、グレンお兄ちゃん、どうやったの!?」
私はグレンお兄ちゃんの方に身を乗り出した。
「レティに教わった内容を思い出して、海水の中に水と塩が入っている状態を図に描き起こしてみてね。
それを見ながら水だけを集めて凍らせて塩だけを追い出すようにイメージして、魔法をかけたんだ。
レティにも教えてあげるからおいで」
そう言ってうれしそうに微笑む。
「すごいのー。いっぱいお塩作ればお菓子買える!」
きゃっきゃと無邪気に喜ぶロロちゃん。
「お肉買ってもらおうぜ、お肉!」
リカルドがうれしそうにじゅるりと唾をのみ込んだ。
「そうだね。これだけ塩があればなにか買えそうだね」
ふたりに微笑むグレンお兄ちゃん。うん。
本当に今のグレンお兄ちゃんはいい子だ。
たった数年で、なぜあんなふうになってしまったのだろう。
こうやってすぐ魔法をアレンジできちゃうあたり、悪役になった時に言っていた魔法の才能があったというのも本当だったのだと思う。
だから夢破れた時、絶望も大きくて自暴自棄になってしまったのかもしれない。
自分の未来も心配だけれど、問題はそれだけじゃない。
グレンお兄ちゃんとリカルドも道を踏みはずさないように、なんとかしなくっちゃ。
お塩を囲んでうれしそうにする四人を見つめて、私は心に誓う。
絶対この領地を貧乏になんかさせないって。