Xmas Gift ~聖なる夜に~
 大通りに出ると駅はもう目の前で、街路樹がキラキラと華やかにライトアップされている。
 
 菖人はJR、私は地下鉄を利用しているので、帰りの電車はバラバラだ。
 このまま駅まで歩いて解散だろうと思っていたら、菖人がかなり手前の場所で不意に立ち止まった。


「さっきの話だけど……来年もひとりだったら、ってやつ」

「ああ、うん」

「約束したからな? 忘れんなよ?」


 そんなに念押ししなくても、と思わず笑みが漏れた。
 だけど、じっと私を見下ろす菖人の顔が真剣そのもので、冗談ではないのだと思い知らされる。

 菖人は本当に私と付き合う気があるのだろうか。
 妙に恥ずかしくなって、ウンウンとうなずきながら巻いていたマフラーに顔をうずめた。

 少しばかり甘い空気だ。たまにはこんなイヴがあってもいい。
 再び歩き出し、「じゃあまたね」と手を振って地下鉄方面へ足を進めようとしたそのとき、後ろから菖人に手首を掴んで止められた。

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