Xmas Gift ~聖なる夜に~
「ごめん、やっぱり無理」


 気まずいそんな言葉とは裏腹に、菖人の視線はしっかりと私の瞳に注がれていた。
 できない約束はしないほうがいい、彼はそう思ったのかもしれない。


「どう考えても無理だ。来年のイヴまで、あと一年も待てない」

「え?」


 菖人は掴んだままの私の手を自分のほうへグイッと引き寄せる。
 体勢を崩した私は、気がつけば彼のたくましい胸板に支えられていた。


「柊里が俺と付き合ってもいいと思ってるなら、来年じゃなくて今からがいい」


 頭の上から菖人の声が聞こえるのと同時に、そのままギュッと抱きしめられた。
 彼がどんな顔をしているのか見えないけれど、声はとても切なくて、思いが伝わってくるようだった。


「俺、柊里が好きだ」


 目と目を合わせ、至近距離で告白された。
 菖人の妖艶な瞳が私を射貫いて離さない。私もなにか言葉を発しなければと思うものの、心臓の鼓動が早すぎて呼吸をするので精一杯だ。


「本当は最初から、今日会えたら付き合ってほしいって言うつもりだった。なのに、来年ひとりだったら……とか、回り道しそうになるなんて」


 バカだろ? と菖人は自虐と照れが混ざった複雑な表情で顔をしかめる。

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