7日間花嫁を演じたら、冷徹富豪な石油王の極上愛に捕まりました

仕事に戻る永斗さんとその場で別れた私たちはダウンタウンまで足を伸ばして、マリアおススメの有名なハンバーガーショップでランチをすることになった。

ジューシーなパテが2枚も入ったボリューム満点なハンバーグは日本の物と比べると驚くほど大きい。

「美味しい~!」

「沙羅様に喜んでいただけて何よりです」

チーズが口の中でとろけて思わず笑顔がこぼれる。

「そういえば、永斗さんとマリアはどういう関係なの?」

付き人とはいえ永斗さんと気軽に言葉を交わしているのはマリアだけだ。

「私は元々海様の金融会社で働いていました。ですが、不当解雇されました」

「そんな……。どうして?」

「私を含め、トップの海様に対して不信感を抱いている人間は大勢いました。業績の悪化は深刻でそれを上層部に意見した人たちが全員職を失いました」

当時のことを思い出したのかマリアは苦しそうに顔を歪める。

「海様は自分に刃向かおうとする人間には容赦しません。そのせいで職を失い絶望して命を断とうとした人もいるんです。それを知った永斗様が支援の手を差し伸べてくれました」

「永斗さんが?」

「はい。永斗様の石油会社に数名、それと下請け会社にも話をつけ、就職先を斡旋してくださいました」

「それでマリアは付き人に?」

「元々はあのお屋敷で家政婦として働いていました。永斗様がその方が時間の融通も利くし子供のためにもいいだろうと」

「子供……?」

首を傾げると、マリアは笑った。

「先日、2歳になりました。女の子です」

取り出したスマートフォンの待ち受けにはマリアとともに笑顔の可愛らしい女の子が映っている。
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